
伊藤有希
サーファーズハウス、カリフォルニアスタイル 内装の選び方とは
更新日:2019年9月24日
こんにちは!
最近、新築の内装の打合せで、サーファーズスタイルを意識する方が多くいらっしゃいました。
あらためて、そのインテリアスタイルの歴史や、特徴について考えてみたいと思います。
1、カリフォルニアスタイル、サーファーズハウススタイルとは
2、アメリカンな家
3、カラーコーディネートのコツ
4、外観、外壁の特徴と選び方
5、壁や床のデザインにこだわりたい
6、照明にもこだわる。
7、さあ、あなたにとって素敵な暮らしは?
1、カリフォルニアスタイル、サーファーズハウススタイルとは

家を建てるとき、インテリアを選ぶ際に、どんなテーマで選ぶか悩ましくも楽しいものですね。
近年、「サーファーズハウス」の人気が高まっています。
これはアメリカ西海岸を舞台に、サーファーが住まうカジュアルなスタイルの住宅です。
日本では、まだまだ個性的な家の印象ですが、こういったスタイルを求める人も多く見かけます。
また、カリフォルニアスタイルとも呼ばれ、開放的で大きな窓にバルコニーやテラスと板張りの壁が特徴です。
インテリアには、板張りの壁や、サンゴやヒトデの置物を飾り、「海」や「自然」を感じられるイメージに仕上げることが多いようです。
2、アメリカンな家

サーファーズハウスのルーツはアメリカです。
アメリカは開拓されさまざまな歴史を経て独立しますが、西洋風の生活様式を基盤としながら独自の文化を築いています。
『大草原の小さな家』という話をご存知でしょうか。

西部開拓時代を描いたドラマですが、丸太の家というか、木で作られた家が登場します。
当時、柱をたてて壁になる板を打ち付ければ簡単に早く家が建ちました。当時は急速な都市の発展などもあり、そういった家屋の立て方が多かった時代だったのですね。
そんな開拓時代の庶民の木造住宅から、板張りのアメリカンスタイルの住宅は始まりました。
時代が進むにつれて、より居心地のよい住宅に、ライフスタイルに合わせて進化を遂げ、今の西海岸風、カリフォルニアスタイルのような形になったのです。
住宅自体もともと一般市民に広まった建築様式がもととなっているので、とてもカジュアルで軽快な雰囲気のなか様々な遊び心が楽しめる住宅が多いですね。
3、カラーコーディネートのコツ
サーファーズハウスに使われるカラーは、ホワイト・ネイビー・ブルー・グリーン・ブラウン・イエローなどです。
太陽の日差しを浴びて明るく輝く、ホワイト。
洗い晒したデニムなどを思い起こさせる、ネイビー。
海や空をイメージさせるブルー。
植物のカラーや、深い海の色を思い起こさせるグリーン。
木材の色、オークやウォルナットの色、ブラウン。
太陽のような、イエロー。
自然の中にある色が多くて、大きな窓の外に広がる景色との一体感を表現するような色をチョイスするのがポイントだと思います。
明るいトーンでさわやかにまとめるとカジュアルで楽しい雰囲気になります。

それぞれのトーンを落として、落ち着いたカラーを入れてコントラストを強めにインテリアをデザインしてもかっこいいですね。
4、外壁の特徴と選び方

特徴的な外観は、「オールドアメリカン」「アーリーアメリカン」などと言われ、板を重ね貼りしたようなラップサイディングの外壁が使われます。
外壁の色ですが、ブルーやグリーン、ネイビーなどに、軒下や屋根の下の破風や鼻隠しなど白い塗装にするとアクセントになって、爽やかなビーチサイドハウス風に演出できます。
窓はホワイトの板で枠を組んで、ルーバーの開き戸などを合わせて設置されるとより一層アメリカンの雰囲気を感じられます
すこしサーファーズスタイルからずれますが、あえて茶色など、木色を生かしたカラーでカントリーハウス風、アメリカの農村のようなデザインもかっこいいかもしれません。

多くは1階にウッドデッキのテラスなどを設け、大きな窓でリビングから外を開放的につなげ自然とゆるく溶け合うようなゆったりとした時間を持てるような間取りになっています。
。
5、壁や床のデザインにこだわりたい

空間を作るうえで大事な要素に、床・ドア・壁があります。
これらは家が完成されてしまうとなかなか変えられない部材なので、こだわって選びたいですね。
床は、無垢材など自然を感じる素材がおすすめです。
裸足であるきたくなるような自然な木の感触で、マットな質感に柔らかく光を反射する優しい見た目のものがうれしいですね。
さらに、パーケット貼りやヘリンボーン貼りと呼ばれるフローリングの板の貼り方などをすると、より海外の雰囲気に近くなります。
さりげなくリズム感も感じられて楽しいですね。
ドア、住宅の打合せの現場では建具とも言います。
ドアは壁にある部材で、デザインによってグッとその空間に深みがでます。
レトロな形に、ナチュラルな質感の木のドア。
ブルーやグリーンで塗装されたデザインのものなども面白いですね。
壁や天井は、板張にするとぐっと雰囲気が出ますよね。
もちろん本物の木の板を使うに越したことはないのですが、なかなか予算が難しい場合もあります。
最近はビニルクロスのデザインが豊富で、木板のものも本物と見まがうような質感のものも増えてきました。
さらに、天井から梁がのぞくデザインにすると木の質感が目を引きます。
キッチン回りや、手洗い場などタイルを張るのもおすすめです。
面積が広い場合、タイル調のクロスで代用しても可能性は広がります。

サンゲツより。
サブウェイタイル風。

タイル一枚一枚の陰影がうっすらとあり、遠目で見ると微妙な凹凸が感じられます。

キッチンの一部の壁をタイル風にできます。
6、照明にもこだわる

アメリカンな住宅を実現するためには、部屋を構成する家具や照明、こまかな生活雑貨など小さいものにこだわればこだわるほど、イメージの再現度は高まります。
照明もナチュラルなレトロさを演出するのに、ガラス素材やホーロー素材のものなどがおすすめです。
最近エトワールライトやスターランプの名で呼ばれ注目されている照明があります。
アイアンが立体的な星のような形に組まれ、光が透過することで壁に影が浮かび上がり光によって華やかな空間を演出できます。
天井も照らすので、狭い空間や階段の吊り照明などに選びたくなります。
7、あなたにとって、素敵な暮らしとは

さて、ここまで外観、床、壁、ドア、照明について考えてみました。
新築を建てるとなると、とことんまでこだわった住宅を建てたいですよね。
大好きなものをたくさんえらんで、お気に入りの家で憧れのアメリカンライフを送れそうですね。
たしかに好きな住宅に住めば、その好きな空間を維持する意欲も湧くし、人生が豊に過ごせる可能性も高くなります。
近年SNSの中でも写真系のインスタグラムやピンタレストなどが広く利用されています。
一般の方でも、おしゃれな写真を投稿しライフスタイルを発信してゆくことができるようになりました。
それに伴い、ひとりひとりがこだわりの住宅を持ち、自分らしさを追求したいという傾向が高まっているように感じます。
家の中でたくさんのフォトスポットがあると、きっと生活が楽しくなりますね。
日常の素敵な瞬間を残して、それを共有することで人とつながって人生が楽しくなるのであればそれは新しい現代の文化だと思います。
そして、自分たちが住まう部屋を整え、おしゃれで快適な空間を維持する努力は悪いことではありません。
でも注意すべき点もあります。
家を建てるとき、内装にこだわってデザインに重きを置いてしまうのですが、つい実際に住まうときに自分たちに本当に必要なものなどを見落としてしまいがちです。
「部屋のデザインが合うだろうか、まとまるだろうか。」
と、色やデザインばかりに目をむけることも多いのです。
でも…、
「収納が少なくて結局生活感のあるものが外に出てしまって、おしゃれさを維持が難しくなってしまった」
「可愛い壁紙を選んだけど…あんまり見ない場所に貼ってしまった」
「空気清浄機など、どうしてもテイストに合わないものが外に出てしまう」
など、住んでみて改めて気づくことも多いのです。

サーファーズハウスやカリフォルニアスタイルは、自然な素材感のインテリアが合う住宅です。
しかし日本の住宅には、様々な家電が生活必需品として使われ、気軽に100円ショップなどで買える安価なプラスチック製品などの収納アイテムも巷にあふれています。
住んでいるうちに、最初のテイストを維持するのはなかなか難しいのですね。
最初にデザインしたスタイルを維持するのは、実はきちんとした片付けの仕組みや家族の協力が必要となってくるのです。
これまでの家族の生活の時間や動線、どこで何をするか。
どこの空間で、何が必要となるのか。
これは理想の生活ではなく、現在の実際の生活を家族ひとりひとりが具体的に思い描いて、収納を増やしたり、空気清浄機やお掃除ロボットの設置場所をあらかじめ用意したりといった様々な想定が必要です。
そしてそのためには、何より家族のかかわりが大切になってきます。
家が居心地よくなるために、デザインはほんのわき役です。
家を建てるとき。
どこでどんなことがしたいのか。
何が必要なのか。
自分や家族の1週間の生活をじっくり観察してみて下さい。
そのうえで家族間でおたがいに理解しあい、信頼してそれぞれが居心地のいい空間にするため協力しあう。
それで初めて、温かく幸せな家を作ることができるのではないでしょうか。
家族みんなで住みよい家を居心地よく維持したくなるような、そんな家族の関わり方って素敵ですね。
どんなデザインであっても、良い家は住まう人が作るのです。
サーファーズハウス、カリフォルニアスタイルは、個人が趣味を楽しみ、余暇をゆったりとくつろいで過ごせることに特化したインテリアスタイルだと思います。
堅苦しくならず、毎日を陽気に楽しくすごしたくなるようなテイストですね。
ただそのために必要なモラルはなにか。
今一度、家を建てる前に家族で考えることをお勧めします。
お母さんも、お父さんも、子供たちも、ひとりひとりが住みよい住まいのイメージを共有し暮らしを楽しんでゆければ、きっとすばらしい「帰りたくなる家」となるでしょう。
私は、住宅の仕事に携わることができて、たくさんの素敵なご家族にお会いすることができました。
内装のコーディネートに関わった住宅で、それぞれのご家族幸せが生まれていけばいいなあと思います。

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